家族団らんで過ごせる四畳半の一戸建て!

トップ > 元年12月> 23日

土地の有効利用計画は更新拒絶の正当事由になるか②

2019年12月23日「月曜日」更新の日記

2019-12-23の日記のIMAGE
公的観点から私的契約関係を律することはできない今回の借地借家法の改正が都市再開発政策の一環として行われたものであれば、敷地の有効利用計画があることが正当事由の重要な要素となると認められてもよさそうです。しかし、既に説明したように、新借地借家法は、地主と借地人という私的契約関係を調整することを目的とする法律であるという理由で、公的な都市再開発政策の実施の観点から私的契約関係を律することは適当でないとされ、今回の改正の目的を都市再開発政策の一環としてとらえることは否定されています。改正法案の検討の一時期においては、「土地の存する地域の状況」(商業地域か住宅地域か等の用途地域、容積率がどうなっているか等)も、正当事由の判断事由として例示しようとされたのですが、成立した改正法ではそのような例示は削除されました。つまり、改正前はむろん改正後も、有効利用されていない土地を地主が有効利用しようとしても、それだけでは更新拒絶の正当事由とは認められませんし、また正当事由の判断の重大な要素とも認められていないのです。したがって不動産業者が、老朽化した平屋建物およびその敷地の底地権を買い取り、契約更新の際、マンションに建て替えるから借地契約の更新拒絶に正当事由があると主張して借地人に明渡しを求めるようなことは、改正後も認められません。正当事由判断のプラス要素になる場合とはただし、周囲の状況、用途地域、容積率などから、土地のより高度の利用が可能であるにもかかわらず、借地人が借地を木造平屋建ての建物の敷地としてしか利用していない場合で、この利用状況を継続させる結果、地主が本来よりも安い地代しか受け取れないときや、マンションなどに建て替えて土地を有効利用することが、地主の老後の安定した生活のために必要不可欠なときなどには、地主側の正当事由を判断する際のプラス要素としてこれらの事情が参酌されると思います。

このページの先頭へ