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「相続開始前3年以内の贈与」は、波平さん、本当に注意してください!

2020年4月12日「日曜日」更新の日記

2020-04-12の日記のIMAGE
~金額に関係なく、問答無用で相続税の対象~波平は、自分が死ぬちょうど1年前に、大切な子どもたちの将来を心配する親心からなのか、サザエたち3人にそれぞれ100万円ずつを渡していました。そもそも生前にもらった財産は、相続開始時においては、波平(被相続人)の財産ではなく、サザエたちの固有の財産なので、相続税の課税対象にはならないはず。また贈与税には、110万円という基礎控除額があるので、これを超えなければ課税されない。つまり100万円の移動には、本来ならば相続税・贈与税のいずれの税金も課されないはず、、、、、、と思うのが普通ですよね。残念ながらこの場合は、相続税が課されます。被相続人である波平から子どもたちに対する「相続開始前3年以内の贈与である」とみなされるからです。なぜ、贈与税が課されない金額の移動にもかかわらず、相続開始前3年以内にもらった場合には、相続税が課されるのか?注視すべきは「相続開始前3年以内の贈与だ」という点です。相続開始前3年以内の贈与とは、言い換えれば、亡くなる直前の贈与とも言えます。よって被相続人が自分の死期をある程度予測できる時期での財産の移動は、遺族のことを心配し、相続税が生じないように行った贈与だと推測できるのです。例えば、家族想いの波平が、「みんなが負担する相続税をできるだけ少なくしておきたい」と考えて、自分の死期を予測しつつ、生存中に贈与税の基礎控除額の110万円以下で、全財産をコツコツ分けて財産の移動を行ったとします。じつは、これって節税対策なのです。こうした財産の移動に税金が課されないとすれば、ごく普通に相続した人が何だか損をしていることになりますょね。そこで税法上では、少なくとも相続開始前3年以内の贈与は、金額に関係なく、相続税の課税対象として扱う規定を設けています。なお、贈与された財産が、非課税財産の対象となる墓地や墓石、公益事業資産などの場合は、たとえ3年以内に贈与されていても相続税は課されません。波平が2011年5月1日に亡くなった場合で考えてみましょう(何だか具体的すぎて波平ファンの皆さんには本当に申し訳ないのですが、、、、、、)。「2008年5月1日から2011年5月1日まで」の3年間に、波平から贈与によってもらった財産を相続税に加えて相続税の計算をします。ただし、相続開始の年の1月1日から相続開始の間に受けた贈与については、はじめから相続税に含まれるだけで贈与税は課されません、波平が5月1日に亡くなった場合は、「その年の1月1日から5月1日まで」に110万円を超えて贈与を受けていた場合でも、それははじめから贈与税でなく、相続税として扱われることになります。また、相続財産に加算されるのは、相続や遺贈によって財産を受けた人が、相続開始前3年以内の贈与によって取得した場合」に限っており、相続開始時に相続放棄をした人、相続分がゼロであった人などは含まれません。相続人であるサザエが波平が亡くなる1年前に、100万円を贈与されていた場合でも、彼女が相続放棄をしていたら、適用外になります。生前にもらった贈与の金額を、相続税を計算する際の相続人の相続財産に加える必要がないからです。~二重に課税されることはないので、ご安心を!~波平が亡くなる2年前に、波平から200万円の贈与を受けて、既に贈与税を支払っていたカツオ。さらに相続税も支払うなんて。「これって二重課税では?」と思った方、ご安心ください!贈与を受けたときに、既に贈与税を支払っている場合は、その分が相続税から差し引かれます。贈与がみなし相続財産になったからといって、贈与税と相続税を二重に徴収されることはありません。波平の死亡前3年以内に、フネが世田谷の自宅を譲り受けていたとしたら、、、。住居用不動産の譲り受けは、夫婦間であってももちろん贈与扱いになり、贈与税が課されます。ただし、相続税と同様に、贈与税にも「配偶者控除」という配偶者だけに適用できる非課税限度額が設けられていて、この額内であれば課税は生じません。もし波平が、フネに自宅を贈与してから3年以内に不慮の事故で亡くなってしまったら、この不動産もみなし相続財産として取り扱われることになります。贈与の際に、配偶者控除を受けている場合には、居住用不動産の価格から控除分を差し引いた金額だけが相続財産に加算されます。つまり配偶者控除を受けた部分は、相続税の課税対象にはならないということですね。最後にもう1つ!贈与されたときと相続開始時で、世田谷の不動産の価格が違った場合はどうなるのでしょう?意外に多い質問ですので、ちょっと触れておきます。例えば、「贈与の際には1億円」と評価され、それに該当する贈与税を支払った。にもかかわらず、わずか3年でその評価が2億円に値上がりしてしまった。差額1億円分も、相続税の課税対象になってしまうのか、、、、、、。いえ、そのようなことはありません。贈与財産の評価額は、贈与時の金額のままで大丈夫ですよ。

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